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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

中学校の先生からの電話

クリスマスも近くなったある日のことです。近所の中学校の先生から電話がありました。

「あの、実はうちの生徒が子猫を保護したと言うちるんですが、どうしたらいいか連れて行く先もなくて、それで・・・、申し訳ないんですが、そちらで飼主さんを見つけてもらうわけにはいかないでしょうか?」

丁寧な物腰で話される男の先生です。話し振りからいかにも困っている様子が窺えました。昔、うちの子供たちもお世話になった学校であり、どうぞ連れて来てくださいとお答えしました。

さて、連れて来られたのは生後2か月くらいでしょうか、みごとにボロボロになった子猫でした。

「すみません、この猫なんですが・・・」

セーラー服の中学生が抱っこした子猫を指しながら、先生が言われる。

(うわあ、これはまた、相当悲惨な生活に落ち込んでたみたいだなあ・・・)

長毛種ですが体中が傷だらけで、皮膚病を掻き破ったような病変に覆われ、尻尾まで赤剥けています。片目もおかしい。

ふと中学生の女の子を見ると、数ヶ月前自宅の老齢猫の最期を看取って、ワンワン泣いていた女の子でした。

「あら、君だったの。そうか、君が連れて来たのか・・・。」

彼女は、どこかでこのボロボロの子猫を見つけ、何とか助けたいと思って、先生に頼み込んだのでしょうか?

それにしても中学校の先生は偉いなあと思いました。
学科準備や部活などの指導、それにPTAなど忙しいのに、生徒が拾って抱きしめている子猫を、見て見ぬ振りしません。

「捨ててきなさい、学校に連れて来ちゃいかん。」

「いやあ、僕もどうしようもないぞ。持ってかえって親に相談しなさい。」

と、関わりを避けて普通なのに、動物病院に電話して、生徒と一緒にわざわざお願いに来られるんですから。

きっと、一人の生徒の心を見つめ、それを大事にしてくれる先生なのでしょう。

さて、引き受けたはいいのですが、その子猫は検査でいろいろ持病、感染症が見つかり、回復は遅れています。あれから40日たっても、今だ治療中の身。

早く完治しますように。
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