きれいに食べましょう
「先生、かけらが飛んでますよ!」
お茶の時間でした。餅吉の煎餅をかじっていると、割れた小片がポロポロと落ちてしまった。それを見逃さず、カメ子が指弾する。
三人のスタッフが皆いっせいに私の口を見、そして足元に散らかる煎餅屑を見た。
(むむむ、見られたか・・・)
「ありゃりゃ、そうなんだよ。どうも最近、食べ方が下手になったなあ・・・なんて。
昔はお年寄りの食べ散らすのを見ていて、(あらあら・・・)なんて思っていたけど、なんの、最近は自分がよく食べこぼしているよ。
いや、それが食べこぼしだけじゃないんだ、物を適正な力で掴む判断力も落ちてるみたい。
コーヒーカップでも、味噌汁でも、つるりと滑らないように持つために、いちいち力加減を考えて持たないと取り落としそうになるんだよ。
若い頃はそんなこと考えやしないよ。無造作に持ってたもんだけどね。」
「あ、私もそうなんです。時々握っているものを、落としそうになるんです。」
カメ子が同意する。
「あるある、私も最近は、そんな気がする。」
マル子もケラケラ笑いながら賛同。
そんな三人をよそに、ただ一人、若いタマエだけがキョトンとしている。
(ふーん、良かった。僕だけじゃないのか・・・)
話しが盛り上がってなんだか安心した時、ぽつんとカメ子が言った。
「でも嫌ですね。こんなことで、先生と話題が合う自分になったのかと思うと・・・。」
お茶の時間でした。餅吉の煎餅をかじっていると、割れた小片がポロポロと落ちてしまった。それを見逃さず、カメ子が指弾する。
三人のスタッフが皆いっせいに私の口を見、そして足元に散らかる煎餅屑を見た。
(むむむ、見られたか・・・)
「ありゃりゃ、そうなんだよ。どうも最近、食べ方が下手になったなあ・・・なんて。
昔はお年寄りの食べ散らすのを見ていて、(あらあら・・・)なんて思っていたけど、なんの、最近は自分がよく食べこぼしているよ。
いや、それが食べこぼしだけじゃないんだ、物を適正な力で掴む判断力も落ちてるみたい。
コーヒーカップでも、味噌汁でも、つるりと滑らないように持つために、いちいち力加減を考えて持たないと取り落としそうになるんだよ。
若い頃はそんなこと考えやしないよ。無造作に持ってたもんだけどね。」
「あ、私もそうなんです。時々握っているものを、落としそうになるんです。」
カメ子が同意する。
「あるある、私も最近は、そんな気がする。」
マル子もケラケラ笑いながら賛同。
そんな三人をよそに、ただ一人、若いタマエだけがキョトンとしている。
(ふーん、良かった。僕だけじゃないのか・・・)
話しが盛り上がってなんだか安心した時、ぽつんとカメ子が言った。
「でも嫌ですね。こんなことで、先生と話題が合う自分になったのかと思うと・・・。」
2012-01-26 15:00
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