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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

秋田犬の耳

病院猫の畏咲です。

今日は10歳を過ぎた秋田犬の、耳に出来た腫瘍を切るというので、院長は朝からちょっと気合が入っていました。

「どいて、どいて、危ないから、触らんで。大丈夫、わしが抑えとるから、その間に注射しなさい。」

まもなく大きな白い秋田犬が病院に入ってきました。名前は「闘志」(仮名)です。貫禄十分、ひとにらみで、他を寄せつけません。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫。だいじょうぶやから、はい、注射して、」

飼主のムッシュが全身で抱え込むようにして秋田犬を抑えてくれます。
だけど、院長がへっぴり腰なんだよね。(この飼主さん、本当に大丈夫かな?)って、不安そうに近づいて、鎮静剤を打ったんだ。

「はい、これで、しばらくしたら眠そうになるはずですから、それからまた処置をします。」

まずは一安心か。ホッとした顔で、説明してる。どんな猛獣でも、麻酔に持っていけたら、怖くはない。

それから30分、秋田犬はだんだんフラフラしてきて、伏せ込み、動かなくなるが、触るとまだ、抵抗は示す。

もう一度ムッシュに顔を抑えてもらい、後ろ足から採血、検査にとりかかります。

年齢の割りに、検査結果は良好、但し、さすがに腫瘍からの出血が慢性化しているためか、やや貧血に傾いているらしい。

それからいよいよ鎮静剤がよく効いてきたところで手術室に運んでいった。麻酔ガスをかがせ、そのまま耳の一部切除にとりかかりました。

耳の穴から大きなカリフラワー様の腫瘍が飛び出しているのを見たときは、おいらもびっくり。耳の奥には、化膿した液が溜まっている様子で異臭がする。

外耳道は腫れて、細くなり、鼓膜に通じる隙間があまり残っていないらしい。

院長とマル子があれやこれやとメスで切ったり、骨を削ったり、レーザーを使ったり、電気メスで止血したり、格闘二時間。

秋田犬の10歳はかなり高齢なので、みんな気を使っていたけど、幸い順調に終わったみたい。

おかげで、おいらも子猫も、お昼のおやつが遅くなっちゃったけどね。

術後40分くらいで、闘志君は目も覚め、自分で歩いて帰ってたから、たいしたもんだ。

「こいつめ、今度、病気したら、保健所にやるぞ!」

なんて言いながらムッシュは闘志君を連れて帰ってたけど、なあに、あんなに可愛がっているんだから、そんなことはできないさ。

今夜から耳が、気持ちいいぜ、きっと!
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