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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

高級タルトケーキ

病院猫の畏咲です。

ある日の昼休み、看護士スタッフたちが集まって高級お菓子のカラーカタログを見ながら、ペチャペチャおしゃべりするが聞こえました。

「ねえねえ、これ、美味しそうね!」

「わー、フルーツが山盛り、すごい!」

「ふんふん、東京スカイツリータウンの中にも、店舗を出してるんだって!」

気になって、おいらもカタログを覗き込むと、びっくり!

小さなショートタルトケーキが一個6百円から9百円くらいのものから始まって、千六百円、千九百円の物までごろごろ。よだれが出そうなほど瑞々しいケーキの写真が30種類もパレードです。

三人は額を寄せ合って、写真を覗きこみ、もし自分が買うとしたらどれにするか、真剣に悩んでいます。

でも、無駄なことです。
こんな高いタルトケーキ、こいつらが、買うはずがないのです。

お金が足ると?と、言いたいくらいですが、あっ、ごめんなさい、皆さん、聞かなかったことにしてくださいね。

それにしても、いつまでも未練がましくフルーツタルトのカラフルな写真をしげしげと見つめています。

「私なら、これがいいかな?」

「うーん、どれかなあ、選ぶの難しいわ・・・、どれかなあ・・・」

「ねえねえ、これって、イチゴもキウイもブドウも桃もすずなりだから、ナイフが入れられないわね、分けるのに苦労しそう。」

「先生なら、どれがいいかな?」

「先生は、タルトの縁(ふち)だけでいいのよ、焼けた枠だけあてがえばいいわよ。」

「えー、縁だけ!?」

「そう、縁だけ。」

カメ子はピシャリと断じます。

「さあ、そろそろ仕事しましょうか。」

「そうね、仕事、仕事!」

かくして、スタッフ達がつかの間の夢を見る、昼休みのささやかな時間は終了したのでした。
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