SSブログ

聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

カレーパン

「昨日ですね、私、久し振りに木の葉モールに行ったんですけどね。」

お茶の時間です。カメ子が嬉しそうに休日の話しをしてくれました。

「あ、本当はその近くのホームセンターに、病院用のプリンターがないか、見に行ったんです。

でもあまりなくて、その代わりお買い得のジャージーをゲットしました。へっへ・・・、四百円でした。

それから、モールに寄ったんですよ。あそこに美味しいパン屋が入っているんで、わたしカレーパンを買って、それから椅子に座って食べてたんです。」

「ふんふん・・・」

いかにもそれから何か起こりそうな話し振りなので、私もマル子も引き込まれて、カメ子の顔をじっと見つめて耳をそばだてた。

「前から食べたかったカレーパンだから、ビニールを破って、かじりついたんです。

そうしたら、小さな男の子を二人連れた若いお父さんが右隣に座ったんですよ。

ところが子供がグルグル動き回って、横に置いたわたしの荷物を椅子から落としそうになるので、お父さんが気にされてたみたいなんですよ。

それでわたし、自分の右側の荷物を左によいしょっと、移したんです。

そしたらその瞬間、手に持っていたカレーパンがポロリと床に落ちちゃったんです。

160円したんですが、まだ60円ぶんくらいしか食べてなかったのに、ぽろって・・・。」

「ハハハ、楽しみの瞬間が零れ落ちたね。三秒以内に拾って食べればよかったかも・・・」

「いえ、それが、わたしがかじってたそのかじりくちのところを下にして、ステンと落ちたから・・・」

「ハハハ、そうか、だめか・・・」

「はい、拾ったカレーパンをしばらく見つめていました。」

こうしてカメ子の日曜日は、暮れていったのでした。
トップへ戻る
nice!(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。