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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

ペス、もう、帰りなさい!

「昔、うちで飼っていた犬は、すごく賢かったのよ!」

ヨンヨンが懐かしそうな表情で、話してくれました。

「ペスって名前だったんだけどね。スピッツの雑種で、中型より少し小さいくらいの。

その頃、私には兄が四人、姉が一人いて、六人兄弟の末っ子だったの。

上の兄や姉からいつも私ばかり命令されて、使い走りさせられて、私が一番下だから、私の命令できる相手が誰もいないのよ。

だけどね、そのペスって犬にだけは、命令ができたの。うち中で、私が命令できる相手は、そのペスだけだった。

ペスと私、仲が良くて、私の後をいつもついて回る犬だった。

『ペス行くよ!』

って言うと、尻尾を振って嬉しそうにどこまでもついてきてくれるの。

だけど、友達と遊ぶ時とか、急に犬が邪魔になることがあるでしょ!そんな時は、

『ペス、もう、帰りなさい!』

って、言うのよ。
そしたらペスはいかにも寂しそうな顔をして、クーンクーン言って、でも、後ろを向いて引き返して言ったわ。

本当に頭のいい、賢い犬だったなあ。」

うーん、昔は、犬があちこち放し飼いでフラフラしていましたからね。車も少なかったし。

トボトボと帰っていく犬・・・思い出すと切なくなる、犬と暮らした昭和の日々の、一情景ですね。

こんなセピア色の思い出が、心のポケットにたくさんある人は、

幸せの絵を描くときの、絵の具の色が、他の人より少し多くなるのかも・・・しれませんね。
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