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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

タラバガニの威力

ナナちゃんはかわいいキジ猫です。一年以上前から腎不全のため、しばしば通院や入院を繰り返していました。

その週も、食べなくなったため、入院して点滴が行われていました。点滴を始めれば、たいてい一日で元気が湧いて来て、何かしら食べだしてくれるのです。

「よかった、よかった。ドライフードも食べてる!」

ナナちゃんの食べっぷりを見て、私たちも安心するのです。

入院中のある日、飼い主のマダムNがナナちゃんの差し入れと一緒に、スタッフにもお土産を下さいました。

「今日、お昼に天神まで出かけてきたから・・・」

「わあ、よろしいんですか?。」

「フフ・・・、北海道物産展があってたからね・・・」

「エヘヘ、ありがとうございます。」

さて、お茶の時間です。さっそく頂いた袋を出します。

丁寧に包まれたパッケージを開けます。みんなの目が固唾をのんで見守ります。

なんと、タラバガニの押し寿司に、ウニコロッケ、それにかけるウニソースが入っていました。

「わあ、タラバガニだって! すごい。わたしなら、横目で見るだけで素通りだわ。」

「ほんと、ウニコロッケなんて、高級で手が出ないわよ。」

みんな大喜びです。

カメ子がさっそく大きな口を開けて、噛みつきます。

「うわあ、美味しいわ! 私、ここに就職してよかったわあ・・・」

彼女は目をつぶってタラバガニ寿司を味わいながら、しみじみとつぶやきました。

(おい、おい、カメ子。そこまで感動しなくてもいいんじゃないの。職業に就くというのは、そういうことじゃないだろうに・・・)

みんなはあきれてポカンと見つめるだけでした。
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