13年待ったのよ
「こんにちわ、ボブのお薬を貰いに来ました。お願いします。あ、あそれから、今度名前が変わったので、書き換えをお願いします。」
クリスマスも近づいた12月の下旬、ミニチュアダックスのボブちゃんを連れて、マドモアゼルがお出でになりました。
「はい、どうぞ、ボブちゃんは・・・えーと、体重は少し減りましたね。」
「はい、フフフ・・・、食事を厳しくしているので、その成果かな?」
ボブちゃんは太り過ぎで、両側に会陰ヘルニアが出来、春に大手術をしました。それで、太ることに気をつけて戴いています。
「名前が変わられたとか・・・」
いつもニコニコして居られるマドモアゼルに、お聞きすると、またニコニコしてこう言われた。
「はい、長く付き合ってた彼と、今度入籍したので・・・」
「それはおめでとうございます。良かったですね。」
「あら、動物病院で、おめでとうと言われるとは思ってもいませんでしたが、エヘヘ・・・、はい、ありがとうございます。もう、13年付き合ってたんですよ。」
「じゃあ、何度もプロポーズされても、なかなか首を振らなかったのでしょうね。」
「違うんですよ、全然、プロポーズされなかったんです。このままでいい!みたいな感じで。それで私もずっと待ってたんですが、もう限界、これ以上待てない、今年で最後別れようと思ってたんです。
そしたら、へへへ・・・」
「ふーん、じゃあ、よっぽど、ロマンチックな場所で、プロポーズされたんでしょう!?」
「それが、二人とも疲れて眠りかけている時で、『ねえ、結婚しようか』『うん? え、ああ、いいわよ・・・』そんな調子だったから、翌朝、私聞いたんです。
『ねえ、あなた、昨日の夜、私にプロポーズしたっけ?』『うん、たしか、したと思うよ。、うん、したした。』『あ、やっぱり、夢じゃなかったんだ。』
ね、こんな調子だったんです。でも、いいんです。とにかく、そういうわけで、良かったんです!!」
いつも明るいマドモアゼルですが、その日はさらにニッコリと、素敵な笑顔でした。
とびきり嬉しいクリスマスになりましたね。長ーく、お幸せに!!