「ねえ先生、先生は最近こけたことあります?」
カメ子が突然聞いてきた。
「最近こけたかって?こけたりするもんか。」
ドキリとしながら私は答えた。
実は私も最近やや足元がおぼつかないことがある。
何もない平らな廊下で、足がつっかかることがあるし、階段を下りる時に、小脳がうまく歩幅計算ができなくなっているのかぎこちなくなる事がある。
が、そんなことはあるけれど用心しながら暮らしているので、まだこけてはいない。
「さっきですね、先生から『患者さんまだおられるかなあ?』って聞かれたでしょう。あの時私、急いで外に出て見に行ってキョロキョロ捜したんですよ。
でも見つからないので、『もう、おられません。』って報告しようと思って戻りかけたら、玄関の階段の所でこけて倒れ、両膝をタイルに打ちつけたんです。
「グエー!」
私、目から火花が出て、立てそうにないぐらいでしたが、気力を振り絞ってよろよろと誰もいない診察室まで戻ってきて、そこの椅子に座り込みうつむいていました。
そのあとで何食わぬ顔で、『もういませんでした。』と、報告したんです。
でも玄関でこけたのは、多分誰にも見られなかったと思いますが、ヘヘヘ・・・」
可笑しそうにカメ子は笑った。
そんな彼女の話しを思い出しながら、あとでふと考える。
・・・たまにはこけるさ、若い奴だってこける
人生、こけること幾たびか
こけたらまた立ち上げればいいんだ。
でも、こける恥ずかしさを心配して
あまりチャレンジしない人生、
それが自分の人生だったかもしれない後悔が少し・・・。
カメ子が突然聞いてきた。
「最近こけたかって?こけたりするもんか。」
ドキリとしながら私は答えた。
実は私も最近やや足元がおぼつかないことがある。
何もない平らな廊下で、足がつっかかることがあるし、階段を下りる時に、小脳がうまく歩幅計算ができなくなっているのかぎこちなくなる事がある。
が、そんなことはあるけれど用心しながら暮らしているので、まだこけてはいない。
「さっきですね、先生から『患者さんまだおられるかなあ?』って聞かれたでしょう。あの時私、急いで外に出て見に行ってキョロキョロ捜したんですよ。
でも見つからないので、『もう、おられません。』って報告しようと思って戻りかけたら、玄関の階段の所でこけて倒れ、両膝をタイルに打ちつけたんです。
「グエー!」
私、目から火花が出て、立てそうにないぐらいでしたが、気力を振り絞ってよろよろと誰もいない診察室まで戻ってきて、そこの椅子に座り込みうつむいていました。
そのあとで何食わぬ顔で、『もういませんでした。』と、報告したんです。
でも玄関でこけたのは、多分誰にも見られなかったと思いますが、ヘヘヘ・・・」
可笑しそうにカメ子は笑った。
そんな彼女の話しを思い出しながら、あとでふと考える。
・・・たまにはこけるさ、若い奴だってこける
人生、こけること幾たびか
こけたらまた立ち上げればいいんだ。
でも、こける恥ずかしさを心配して
あまりチャレンジしない人生、
それが自分の人生だったかもしれない後悔が少し・・・。