鉄人マル子
「ヘヘヘ・・・私ですね、病院には生まれてからまだ一回しかかかったことないんですよ。」
ある日マル子がそんな話を教えてくれる。
「えっ! たった一回しかかかったことがない!?本当かい?」
私はそれを聞いてびっくりした。
大抵の人は子供時代に熱が出たり風邪をひいたりして、年に何回かは病院に行くのではないだろか?
仮に毎年は病院に行かないとしても、数年に一回はかかるのではないだろうか。
それなのに失礼ながら彼女はすでに○十○歳にもなるのに、生涯たった一回とは畏れ入った。
「じゃあ、その一回は、いつかかったの?」
「ヘヘヘ・・・、先生は知っているはずですよ。何年か前ですけど、私が咳がひどかった時です。」
「・・・・?、むむむ、そうか! あの時か!」
はたと私は思い出した。そう言えば、三、四年くらい前だろうか、マル子が真っ赤な顔をして喘息のような咳の発作が続いていた事があった。
一度は激しく咳き込みながら彼女の体がぐらりと傾いて、あわや血を吐いて倒れるかと危ぶんだほどだった。
息が吸えなくて思わず流しに手をついた彼女に向かって私は言った。
「ちょっと咳がひどすぎるよ。もう三週間ぐらいになるだろ?病院で診てもらわないとだめだよ。」
みんなに忠告されて、万が一仲間に迷惑をかけてもいけないと考えたのだろう、それであの時病院に行ったようである。
生涯あの時、たった一度らしい。
「もしかして、君の家族はみんなそうなの?」
「いいえ、妹はしょっちゅう病院に行ってます。父母も普通に行ってますよ。」
「ふむふむ、家族は普通なのか・・・」
(ふーん、マル子は痩せてひ弱そうだが、案外へんなところで強情っぱりなんだな。
それにしても厚生労働省医療保険課から表彰状が来てもいいくらいだ。)
大変驚いた、ひと時でした。
ある日マル子がそんな話を教えてくれる。
「えっ! たった一回しかかかったことがない!?本当かい?」
私はそれを聞いてびっくりした。
大抵の人は子供時代に熱が出たり風邪をひいたりして、年に何回かは病院に行くのではないだろか?
仮に毎年は病院に行かないとしても、数年に一回はかかるのではないだろうか。
それなのに失礼ながら彼女はすでに○十○歳にもなるのに、生涯たった一回とは畏れ入った。
「じゃあ、その一回は、いつかかったの?」
「ヘヘヘ・・・、先生は知っているはずですよ。何年か前ですけど、私が咳がひどかった時です。」
「・・・・?、むむむ、そうか! あの時か!」
はたと私は思い出した。そう言えば、三、四年くらい前だろうか、マル子が真っ赤な顔をして喘息のような咳の発作が続いていた事があった。
一度は激しく咳き込みながら彼女の体がぐらりと傾いて、あわや血を吐いて倒れるかと危ぶんだほどだった。
息が吸えなくて思わず流しに手をついた彼女に向かって私は言った。
「ちょっと咳がひどすぎるよ。もう三週間ぐらいになるだろ?病院で診てもらわないとだめだよ。」
みんなに忠告されて、万が一仲間に迷惑をかけてもいけないと考えたのだろう、それであの時病院に行ったようである。
生涯あの時、たった一度らしい。
「もしかして、君の家族はみんなそうなの?」
「いいえ、妹はしょっちゅう病院に行ってます。父母も普通に行ってますよ。」
「ふむふむ、家族は普通なのか・・・」
(ふーん、マル子は痩せてひ弱そうだが、案外へんなところで強情っぱりなんだな。
それにしても厚生労働省医療保険課から表彰状が来てもいいくらいだ。)
大変驚いた、ひと時でした。
2010-04-20 15:00
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