動物園実習の報告の最後に、今年は象舎でのことをお話しさせていただきます。
「火曜日に象の体重を量るから、来ないか?」とベンに言われ、約束の朝7時半に出かけました。
いや、正確に言うと、私は朝寝坊してあわてて飛び起き、駆け出して約束の東門に着いたのはもう8時半でした。
(あちゃー、ひどい遅刻だ。こりゃ、もう待っているわけ無いよなあ・・・)
案の定、高い東門はがっちり鍵が閉まり、シーンとしています。
(あー、大失敗だ! やっぱ、遅刻の癖がこんなところで露呈しちゃうんだなあ・・・)
私は門の金網にとりついて、遅すぎた反省をしていたところ、ガサガサと音がするのに気がつきました。
(あれ、誰かいるのかな?)
首を伸ばして園の中を覗き込むと、右の方から熊手箒をもった清掃管理の女性が、道を掃きながら近づいてきます。
(あ、彼女に頼んでみよう!)
「ヘイ、ヘイ、イクスキューズミー。アイハブア アポイントメント、ウイズドクターベン、ディスモーニング、バット、アイワズ、ツーレイト・・・」
自分でもわけのわからない英語で、必死に彼女に呼びかけると、最初は胡散臭そうに私を見ていましたが、すぐ通りかかった警備のおじさんに伝えてくれました。
警備員は、彼女の話を聞いたり私の顔を見たりしていましたが、とりあえず腰の無線機で病院スタッフと連絡をとってくれ、それでようやく話しが通じたようで、すぐに一人の看護士スタッフが迎えに来てくれました。
「アイムソーリー、アイワズツーレイト・・・」
「イッツオーケー」
彼女の運転する電動カーで、すぐ象舎に向かいます。
「ちょうど、いい時間よ、心配ないわよ。これから体重測定が始まるから。」
(そうか、時間がずれ込んだんだな、助かった・・・)
私はちょっとホッとして、車を降ります。
象舎の裏手には、もう十数人集まっています。太い鉄柵の2mほど外側に黄色いラインが引かれ、これ以上近づかないよう警告が書かれています。
鉄柵の向こうにちょっとした空間があり、その向こうにさらに太い鉄柵があり、象はその中にいました。
中では象担当のキーパーが二人、鍵爪のついた棒をもって象をあやしています。
まもなくトラックの車体重量を測定する薄く長い鉄の量りが二本持ち込まれ、クレーンで吊り下ろされました。その二本を象の足幅にセットすると、奥の鉄柵が外され、慎重に象が連れて来られます。
二人のキーパーがゆっくり量りの上に象の四本の足を乗せさせ、量ります。4.5トンと言ったようでした。
そのようにしてゆっくり時間をかけて2頭とも体重を量った後です。
象を奥の鉄柵に戻すと、「ちょっと来いよ!」と、呼ばれました。
「はい?・・・」
「象と一緒に写真をとってやろう、象の横に立ちなよ。」
ベンが私のカメラをもつと、そっちへ行けと指差します。
象の体はとりあえず柵の向こうですが、象の顔は、私の横です。
いえ、私の頭上右上であり、長い鼻を私にむけてしきりに体を臭っています。
もう一頭は、少し後ろからやはり鼻先だけ伸ばして、わたしの足首付近を丹念に臭っています。
それまで象の横に立つくらい、なんでもないように思っていましたが、この時はひどく緊張してしまいました。
象が鼻先を私に絡ませようとするたびに、キーパーが優しくその鼻を引き戻すのですが、万が一象の気が変わったら、次の瞬間に何が起こるかはわからないぞ・・・と思うと、安全だとは信じながら、緊張を隠せませんでした。
ニコニコ笑いながら、体はガチガチになっている写真がパチリ。
実になさけない小心者でした。
ところで、巨大な象からフーフーと鼻息を鳴らしながら匂いをかがれるのは、大変な冷や汗ものでしたが、
さて何か悪い事をして帰ったときに、自宅でくんくんと女房から体中の匂いを嗅がれるあの恐ろしさと比べたら、どちらが怖いかなあ・・・。
あ、いえ、これは単なる一般論でして、決して私の個人的なことではありません。私は決して、後ろめたい事はありませんので、念のため。
ただね、最近結婚された方は、いつかこんな、ゾクゾクする感覚がわかるようになる?かもしれませんよ・・・と、申し上げているだけなのです。
「火曜日に象の体重を量るから、来ないか?」とベンに言われ、約束の朝7時半に出かけました。
いや、正確に言うと、私は朝寝坊してあわてて飛び起き、駆け出して約束の東門に着いたのはもう8時半でした。
(あちゃー、ひどい遅刻だ。こりゃ、もう待っているわけ無いよなあ・・・)
案の定、高い東門はがっちり鍵が閉まり、シーンとしています。
(あー、大失敗だ! やっぱ、遅刻の癖がこんなところで露呈しちゃうんだなあ・・・)
私は門の金網にとりついて、遅すぎた反省をしていたところ、ガサガサと音がするのに気がつきました。
(あれ、誰かいるのかな?)
首を伸ばして園の中を覗き込むと、右の方から熊手箒をもった清掃管理の女性が、道を掃きながら近づいてきます。
(あ、彼女に頼んでみよう!)
「ヘイ、ヘイ、イクスキューズミー。アイハブア アポイントメント、ウイズドクターベン、ディスモーニング、バット、アイワズ、ツーレイト・・・」
自分でもわけのわからない英語で、必死に彼女に呼びかけると、最初は胡散臭そうに私を見ていましたが、すぐ通りかかった警備のおじさんに伝えてくれました。
警備員は、彼女の話を聞いたり私の顔を見たりしていましたが、とりあえず腰の無線機で病院スタッフと連絡をとってくれ、それでようやく話しが通じたようで、すぐに一人の看護士スタッフが迎えに来てくれました。
「アイムソーリー、アイワズツーレイト・・・」
「イッツオーケー」
彼女の運転する電動カーで、すぐ象舎に向かいます。
「ちょうど、いい時間よ、心配ないわよ。これから体重測定が始まるから。」
(そうか、時間がずれ込んだんだな、助かった・・・)
私はちょっとホッとして、車を降ります。
象舎の裏手には、もう十数人集まっています。太い鉄柵の2mほど外側に黄色いラインが引かれ、これ以上近づかないよう警告が書かれています。
鉄柵の向こうにちょっとした空間があり、その向こうにさらに太い鉄柵があり、象はその中にいました。
中では象担当のキーパーが二人、鍵爪のついた棒をもって象をあやしています。
まもなくトラックの車体重量を測定する薄く長い鉄の量りが二本持ち込まれ、クレーンで吊り下ろされました。その二本を象の足幅にセットすると、奥の鉄柵が外され、慎重に象が連れて来られます。
二人のキーパーがゆっくり量りの上に象の四本の足を乗せさせ、量ります。4.5トンと言ったようでした。
そのようにしてゆっくり時間をかけて2頭とも体重を量った後です。
象を奥の鉄柵に戻すと、「ちょっと来いよ!」と、呼ばれました。
「はい?・・・」
「象と一緒に写真をとってやろう、象の横に立ちなよ。」
ベンが私のカメラをもつと、そっちへ行けと指差します。
象の体はとりあえず柵の向こうですが、象の顔は、私の横です。
いえ、私の頭上右上であり、長い鼻を私にむけてしきりに体を臭っています。
もう一頭は、少し後ろからやはり鼻先だけ伸ばして、わたしの足首付近を丹念に臭っています。
それまで象の横に立つくらい、なんでもないように思っていましたが、この時はひどく緊張してしまいました。
象が鼻先を私に絡ませようとするたびに、キーパーが優しくその鼻を引き戻すのですが、万が一象の気が変わったら、次の瞬間に何が起こるかはわからないぞ・・・と思うと、安全だとは信じながら、緊張を隠せませんでした。
ニコニコ笑いながら、体はガチガチになっている写真がパチリ。
実になさけない小心者でした。
ところで、巨大な象からフーフーと鼻息を鳴らしながら匂いをかがれるのは、大変な冷や汗ものでしたが、
さて何か悪い事をして帰ったときに、自宅でくんくんと女房から体中の匂いを嗅がれるあの恐ろしさと比べたら、どちらが怖いかなあ・・・。
あ、いえ、これは単なる一般論でして、決して私の個人的なことではありません。私は決して、後ろめたい事はありませんので、念のため。
ただね、最近結婚された方は、いつかこんな、ゾクゾクする感覚がわかるようになる?かもしれませんよ・・・と、申し上げているだけなのです。