それは年の瀬の待合室でのことです。
大切なペットを膝に乗せて、点滴を受けておられる飼主さんが何組か居られました。

大きなガラス窓からは、冬の陽が優しく射し込んでいます。

「さあ、宝くじを買おうかな!」

ビーグルのノノコちゃん(仮名)の治療を終えたマダムSが、カウンターの前で笑いながらそう言われました。

夢を抱かせてくれる宝くじは、年末の話題の一つです。

「そうそう私も買おう、今年は当たるかもしれないの!?」

その声は、ソファーの方から、ニコニコしながら言われるマダムNでした。

「私は今年は運が良かったのよ。岩田屋でも三等、ダイエーでも三等が当たったの、フフフ・・・。

それでね、知り合いの美容院では、弟さんが一千万円当たったらしいの。高級時計を買おうかなって、言ってるんだって。

でも私はたくさんはいらないの。三億円も貰ったって、使い道がねえ・・・、私は一千万円くらいでいいわ。」

マダムはそう言われました。隣でご主人が笑っておられます。

そうですね、
私も、
三億円の夢だけ見るより、

一千万円のほうがいいですけど・・・。