多くの皆様がご存知かと思いますが、薬にはたくさんの種類があり、またその名前もよく変わります。

たとえば点耳薬の一つにトリオティックという薬がありました。
しばらくしてそれが同系統のオトマックスに変わります。

ところが今回はさらにモメタオティックという新薬で、使うことになりました。だけど、その名前をみんなすぐ覚えられません。

「変な名前ですね。」

「うん、覚えにくいね。」

「あれ、ほら・・・新しい薬何だっけ・・・」

と、なかなか覚えられず不評だったので、私がポツリとひとこと言った。

さて、翌日の事。
カメ子が検査室でしゃがんで、流し下のひらきを開け、奥を覗き込んで片付けながらこう言った。

「先生、この前の覚え方、あれ案外良いみたいです。
 『もめた男チック』・・・で、私すぐ覚えました。」


・・・・きっと、カメ子も昔、いろいろ苦労したのかもしれない・・