「先生、昨日ですね、私、スーパーに行ったんですけどね、」
ある日、検査室で仕事をしていると、カメ子がそんなことを話し始めた。
「お店で商品を見ていたら、幼い子が私のそばに来て、スカートを引っ張りながら『ママがおらん!』って、泣き出したんですよ。
(あら、迷子かなあ? でも、きっとどこか近くにいるんだろうなあ・・・)
と思って、キョロキョロ辺りを見回してみたんです。そうしていたら、向こうから小学校二年くらいの女の子が、
『はな!、はなちゃんはどこ!』
と言いながら近づいてくるのが見えたんです。私は
(あ、この子のお姉ちゃんかな?こっちに気がついたら『ありがとう、お姉さん』て言ってくれるかな?)
と、予想してたんです。
そしたら、その女の子が来たら、私をキッと睨んで、いかにも私が泣かせたような顔をして、こわい顔して急いで連れ戻して行ったんですよ。」
「アハハ・・・、カメ子、それは泣かしたくらいですんでないかもしれないよ。妹が今にもさらわれかけていたと、思ったかもだね。ハハハ・・・」
「えっ! そうでしょうか。あの子は小さかったから、私に助けてもらったって、説明してくれないかなあ・・・」
「ハハハ・・・、無理だね、君は悪者だろうよ。」
人間って、悲しいですね。
スーパーに出かけただけで、誤解したり、誤解されたり、
毎日のいたるところで、そうやって人生を刻んでいくんでしょうか。
さて、その翌日の事、私の所属する獣医の研究会から、例会の案内書が届いた。
「カメ子、この番号にファックスして、返事を出しといてくれ。」
「はい、・・・あれ、先生。これ、何ですか? 何だか、いかがわしいですね。
えー! 場所が『中洲・個室物語、かぐや姫御殿』ですって。キャー先生、いやらしい!先生、こんな所に行くんですか? ね、みんな!先生が、いやらしいところに、行きますよ!」
「ちょっと、待てよ、カメ子。そこは普通の居酒屋だよ。いや、本当だよ、ただの親睦会なんだよ。オイッたら・・・」
トホホ、人間って、悲しいですね。
案内書をもらっただけで、誤解したり、誤解されたりして、
人生を刻んで行くんですね。
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ある日、検査室で仕事をしていると、カメ子がそんなことを話し始めた。
「お店で商品を見ていたら、幼い子が私のそばに来て、スカートを引っ張りながら『ママがおらん!』って、泣き出したんですよ。
(あら、迷子かなあ? でも、きっとどこか近くにいるんだろうなあ・・・)
と思って、キョロキョロ辺りを見回してみたんです。そうしていたら、向こうから小学校二年くらいの女の子が、
『はな!、はなちゃんはどこ!』
と言いながら近づいてくるのが見えたんです。私は
(あ、この子のお姉ちゃんかな?こっちに気がついたら『ありがとう、お姉さん』て言ってくれるかな?)
と、予想してたんです。
そしたら、その女の子が来たら、私をキッと睨んで、いかにも私が泣かせたような顔をして、こわい顔して急いで連れ戻して行ったんですよ。」
「アハハ・・・、カメ子、それは泣かしたくらいですんでないかもしれないよ。妹が今にもさらわれかけていたと、思ったかもだね。ハハハ・・・」
「えっ! そうでしょうか。あの子は小さかったから、私に助けてもらったって、説明してくれないかなあ・・・」
「ハハハ・・・、無理だね、君は悪者だろうよ。」
人間って、悲しいですね。
スーパーに出かけただけで、誤解したり、誤解されたり、
毎日のいたるところで、そうやって人生を刻んでいくんでしょうか。
さて、その翌日の事、私の所属する獣医の研究会から、例会の案内書が届いた。
「カメ子、この番号にファックスして、返事を出しといてくれ。」
「はい、・・・あれ、先生。これ、何ですか? 何だか、いかがわしいですね。
えー! 場所が『中洲・個室物語、かぐや姫御殿』ですって。キャー先生、いやらしい!先生、こんな所に行くんですか? ね、みんな!先生が、いやらしいところに、行きますよ!」
「ちょっと、待てよ、カメ子。そこは普通の居酒屋だよ。いや、本当だよ、ただの親睦会なんだよ。オイッたら・・・」
トホホ、人間って、悲しいですね。
案内書をもらっただけで、誤解したり、誤解されたりして、
人生を刻んで行くんですね。
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