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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

エアコン

「ゴトゴトゴト・・ブオーーン・・ブオンブオン・・」

暴走族のエンジン音ではありません。
手術室の古いエアコンが、いよいよ駄目になっています。病院新築当時の機械なので、21年くらい使ったでしょうか。

「もうだめですね。」

「うん、もう、限界かな。」

スタッフ達とエアコンを見上げて、話す。

まだ壊れたわけではないが、古い機種だから電気代は高いだろうし、冷房効果も弱いだろう。それよりもなにしろ、手術台に載せられた犬がブオンブオンの騒音を聞いたら、ギョットするかもしれない。

いや、私も最近は、その大きな音に呆れて、エアコンをじっと見上げることがある。犬や猫だって、内心、心配にちがいない。

「ワンワン、先生さんよ、こんなところで手術して、大丈夫ですか!?」

「心配するな、別にエアコンが手術するわけじゃないんだ。俺がするんだから、安心して眠ってろ!」

そう言い聞かせるが、しかし、快適、スマート、とは言い難い。そういうわけで、とうとう、新しいエアコンに取り替えることにした。

六月のある昼に、親子の電気屋さんが来てくれて、大きなダンボールを降ろし、中からピカピカのエアコンを取り出す。

「古いエアコンの跡は、穴は塞ぎますが、壁の色がそこだけ変わりますけど、いいでしょうか?」

「いや、目立ちますね、でも、それは仕方ないでしょうね。」

壁紙を全部張り替えるわけにもいかない。天井近くの隅っこだけだから、これは犬たちに我慢してもらうしかない。

「おーい、ダクトを引っ張ってくれ!」

「はい、引っ張りますよ、いいですか?」

「電線を通すぞー。引っ張れー・・・」

かくして電気屋さんたちが汗を流しながら三時間ほど工事をしてくださり、手術室に新しいエアコンが付きました。

色あせた壁紙を背景に、小さな緑の光を輝かせて白いエアコンが静かに冷気を放出してくれます。

今年の夏は、静かに冷やしてくれそうです。
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