地震速報
「先生、わたしですね、今朝早く起きてラジオでテレビ局の番組を聞いていたんですけどね・・・。」
ある朝の、診察の合間の時間でした。カメ子が話し始めます。
「そしたらラジオが突然、『緊急地震速報!』って言い出したんですよ。『まもなく地震が到達します』って・・・。
私びっくりして、身構えました。」
そう言いながら、カメ子は身構えた様子を再現する。
腰を落とし、足をカニのように開き、腕を広げ上を向いてキョロキョロする仕草を見せてくれた。
「それでですね、どうしよう、どうしよう・・・とりあえず壁掛け扇風機の下から離れとこうっと思って、移動してあとは何も出来ないまま部屋の中でキョロキョロ立ち往生しているだけだったんですよ。
だけど、暫らく待っても地震が来ないんです。それでテレビをつけたら、静岡地方の震度を速報していたんです。
それで、ははあ、これは地震速報の時、テロップで静岡の字幕だけ出てたのかもしれないなって、わかりました。
音声だけの地震速報だと、警告地域がわからないのは考えものですね。」
ふふん、カメ子は職場でも、家でも、相変わらず間の抜けたことをしているようだ。
ところがそれから一週間ほどたって、ついに福岡に再び震度3が襲ってきた。
仕事中、ゴーッという不気味な音が地面を震わせたかと思ったら、次の瞬間グワッ、グワッと建物が揺すぶられる。
(あっ、また来たな!)
前回の震度6を経験している患者さんたちも、恐そうに顔を見合わせている。
と、隣の古い二階屋にいた家内も恐くなったらしく、蒼くなって病院へ駆け込んできたが、ふと手元を見ると、自分があわてて持ち出したものが空のペットボトルだと気がついて、それから何も言わずに帰って行った。
地震は恐い。人は蛇に睨まれたカエル状態になってしまう。
何にしろ、壊れない建物を作る以外、
本当の地震対策はないんじゃないかしら。
ある朝の、診察の合間の時間でした。カメ子が話し始めます。
「そしたらラジオが突然、『緊急地震速報!』って言い出したんですよ。『まもなく地震が到達します』って・・・。
私びっくりして、身構えました。」
そう言いながら、カメ子は身構えた様子を再現する。
腰を落とし、足をカニのように開き、腕を広げ上を向いてキョロキョロする仕草を見せてくれた。
「それでですね、どうしよう、どうしよう・・・とりあえず壁掛け扇風機の下から離れとこうっと思って、移動してあとは何も出来ないまま部屋の中でキョロキョロ立ち往生しているだけだったんですよ。
だけど、暫らく待っても地震が来ないんです。それでテレビをつけたら、静岡地方の震度を速報していたんです。
それで、ははあ、これは地震速報の時、テロップで静岡の字幕だけ出てたのかもしれないなって、わかりました。
音声だけの地震速報だと、警告地域がわからないのは考えものですね。」
ふふん、カメ子は職場でも、家でも、相変わらず間の抜けたことをしているようだ。
ところがそれから一週間ほどたって、ついに福岡に再び震度3が襲ってきた。
仕事中、ゴーッという不気味な音が地面を震わせたかと思ったら、次の瞬間グワッ、グワッと建物が揺すぶられる。
(あっ、また来たな!)
前回の震度6を経験している患者さんたちも、恐そうに顔を見合わせている。
と、隣の古い二階屋にいた家内も恐くなったらしく、蒼くなって病院へ駆け込んできたが、ふと手元を見ると、自分があわてて持ち出したものが空のペットボトルだと気がついて、それから何も言わずに帰って行った。
地震は恐い。人は蛇に睨まれたカエル状態になってしまう。
何にしろ、壊れない建物を作る以外、
本当の地震対策はないんじゃないかしら。
2009-08-19 15:00
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