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聖ノア通信 - 当病院の日々の出来事、ペットにまつわる色々な話をつづります -

イタチの子

「あの、こんな生き物が道路際に落ちていたんですが・・・」

朝9時頃、近所のマダムが茶色い動物を連れて来られました。
手の平に隠れるくらい小さくて、茶色くて、細長い動物。まだ目の開いていない赤ちゃん。

「へえ! これはイタチだなあ・・・」

「は?イタチですか?」

「ええ、珍しいですね、イタチの赤ん坊は。どうされたんですか?こんな小さい子・・・」

「先ほど子供を送っていこうとしていたら、道のそばに何か動いていたのを見つけたんです。『あれー、どうしようか・・・』と迷ったんですが、このまま放って置いたら死にそうな気がして、相談しようと思いまして・・・」

「ふーん、移動中だったんでしょうかね、お母さんイタチはどうしたのかなあ?」

すっかり太陽は昇っているのに、まだその辺に赤ちゃんを置いてきぼりにしているとしたら、お母さんの身に何かあったのかもしれない。

「これは2時間おきにミルクやって哺乳しないといけませんが、どうされますか?」

「仕事もありますし、ちょっと育てるのは・・・・」

マダムは困ったような表情をされた。今日もこれから仕事らしい。

ということで、生まれて間もないイタチの子を一匹、引き取る事になりました。
すでに衰弱しており、育つのは無理かとも案じましたが、とりあえず4日間たって少しづつ大きくなっています。

歯も生えてきましたが、まだ目は開きません。どうやら犬などと発育の順番が違うようです。

今、先週のヒヨドリと並べて世話していますが、成長はヒヨドリが遥かに早いようです。やはり弱い生き物のほうが、早く自立するようにできているのでしょうか。

教会の牧師にイタチの話をすると、こう言われました。

「そう言えばしばらく前に、教会の教育館でも壁の隙間からイタチの若いのが二匹見つかったんだよ。
退治しようかとも思ったけど、可哀想だから臭いのする薬を使っていると、出ていってくれたよ。」

うーん、教会は迷える羊が集まる所ですから、どうやらイタチの居場所はなさそうです。
最後っ屁をかまさずに出て行ってくれたのは、イタチの礼儀でしょうか?

それにしても住宅街の裏の世界、人の知らない所で、野生動物達が生きているのですね。
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